だからセミアコにするわ
店を出ると、夏が戻ってきた。
坂を下りながら、3人で歩いた。
「早く練習して〜!」
タクヤが言った。
「そうだね〜」ぼくは言った。
あの一瞬のことを、まだ考えていた。3人の音が、たまたま揃った、あの一瞬。
「ユウジどうすんだ?エレキ?アコギ?」
「なぁ、聴いただろ?ブラックベリー・スモーク」
ユウジが言った。
「うん、初めて聴いたけどかっこよかった!」ぼくは言った。
「そうだな!あんなんできたらいいよな?」タクヤが言った。
「アコギも捨て難いんだけどさ」
ユウジが少し間を置いた。
「あのメロディーが頭に残ってるんだよ」
「メロディー?」タクヤが首をかしげた。
「そうだよ。ギターも凄いかもしれないけど、3人でちゃんとメロディーをハモらせたら、って考えるとさ」
「うん。綺麗なメロディーだったもんね」ぼくは言った。
「だからセミアコにするわ」
「え?なんで?」タクヤが言った。
「セミアコなら音量調節できそうじゃない?バンジョーみたいな音にもできるかもって考えてるんだけど」
ユウジは少し考えてから続けた。
「買う時にけんじさんに聞いてみるわ」
「お前考えてんな〜!すげーよ!」タクヤが言った。
「誰かがまとめないと、お前の暴走止められないでしょ?」
「なっ!」
3人で笑った。
夏の道を、ぼくたちは歩いていた。