otopublic.com

腐れ縁

親友

親友
親友

腐れ縁

「ミキ、ありがとうね」

校門を出てすぐ、わたしは言った。

「さっき、努力家って言ってくれたの。恥ずかしかったけど、嬉しかった」

「まぁ、腐れ縁だから任せとけ!」

ミキは鞄の肩紐を持ち直して、少し胸を張った。

「奏のことなら何でも知ってるんだぞ〜」

「イヤー! ストーカーじゃないんだから!」

ケラケラと笑い声が上がって、それがアスファルトの熱気の中にしばらく溶けていった。

蝉の声が遠くから続いている。もうすぐ夏休みだ。


少し歩いたところで、わたしはぽつりと言った。

「将来のことなんて、今決められないよね?」

「うん」

ミキがあっさりと答えた。

「そんな遠い先のことなんて……なのに、みんな当たり前みたいに話すじゃん。やりたいこと、って」

ミキはしばらく黙って歩いていた。

「だからお父さんも、背中押してくれたんじゃない?」

わたしは少し顔を上げた。

「成績優秀で、生徒会副会長で。周りから見たらできすぎてるかもだけど」

ミキが前を向いたまま続けた。

「昔から知ってる身からすると、頑張りすぎじゃない?って思うよ」

「え?」

「ある程度決まってるんだし。大学行ったら、やりたいことに繋がるかもしれないじゃん」

ミキが振り向いた。

「だから一緒に行こう? ケンジさんの店!」

わたしは少し間があってから、「うん」と言った。

ミキはそれだけで満足そうに、また前を向いて歩き出した。

夏の光が二人の影を長く引き延ばしている。もうすぐ夏休みだ。

物語の制作過程

Behind Notes を読む →